大人のRSウイルス
感染症

RSウイルス感染症は生涯を通して再感染を繰り返します1)。
ここでは、大人のRSウイルス感染症について、注意すべき点を説明します。
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RSウイルス感染症は生涯を通して再感染を繰り返します1)。
ここでは、大人のRSウイルス感染症について、注意すべき点を説明します。
【編集協力】杏林大学医学部付属病院 感染症科
臨床教授 倉井 大輔 先生
通常、健康な成人はRSウイルスに感染しても軽症で、多くは風邪のような症状で自然軽快します2)。
高齢者、喘息、COPD、心疾患などの慢性の基礎疾患がある人、免疫機能が低下している人の場合、RSウイルスに感染した場合は、肺炎などを引き起こすこともあります2)。
**病原体に対する抵抗力が弱まり、感染症などにかかりやすくなっている状態
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/meneki-rouka.html
RSウイルス感染症によって、高齢者が入院、死亡にいたることも報告されています2)。
入院・死亡に
至ることもあります
基礎疾患※のある人は、その基礎疾患のない人に比べて、RSウイルス感染症の入院率比が高いことが報告されています4)。
基礎疾患の種類 | 地域 | 入院する可能性 | |
---|---|---|---|
ニューヨーク市 | ロチェスター | ||
喘息のある人 | 2.27 倍 |
2.52 倍 |
高くなる(65歳以上) |
冠動脈疾患‡のある人 | 3.75 倍 |
6.46 倍 |
高くなる(65歳以上) |
糖尿病のある人 | 2.35 倍 |
6.44 倍 |
高くなる(65歳以上) |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)のある人 | 3.51 倍 |
13.41 倍 |
高くなる(65歳以上) |
うっ血性心不全のある人 | 5.40〜5.86倍 | 3.99〜7.63倍 | 高くなる(60歳以上) |
Branche AR. et al.: Clin Infect Dis. 74(6),
1004‐1011, 2022より作表
※喘息、冠動脈疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うっ血性心不全
†調査対象地域の集団で、各基礎疾患を有する被験者とその基礎疾患のない被験者の入院率を比較した比率
‡狭心症、心筋梗塞など心臓に血液を供給する冠動脈で血液の流れが悪くなり、心臓に障害が起こる病気の総称 [https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-006.html]
RSウイルス感染症が重症化するリスクは、季節性インフルエンザと同程度、あるいは状況によってはそれ以上であることが報告されています5)6)7)。
RSウイルス感染症による入院期間は季節性インフルエンザの約2倍との報告も
RSウイルス感染症
30.0日
季節性インフルエンザ
15.2日
5)髙橋 洋 他: 感染症学雑誌. 90(5), 645-651, 2016 [著者にグラクソ・スミスクラインから講演料を受領した者を含む。]より作図
RSウイルス感染症で入院する患者の多くは小児ですが、重症化して死亡に至った患者の85%は高齢者でした8)。
RSウイルス感染症で入院した患者さん
(24,345人)
入院後30日以内に死亡した患者さん
(697人)
8)Hamilton MA. et al.: Influenza Other Respir Viruses. 16(6), 1072-1081, 2022より作図
乳幼児の
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